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No.14「彩りを求めて」

彩りを求めて

もも

とにかく私は色に飢えていた。

 

結婚して10数年

 

転勤族の夫についていき、慣れない土地で子育てをしている私の心は
孤独と、社会から切り離された気持ちでいっぱいで、どんよりくすんだ色をしていた。

 

日々の小さな幸せに、一瞬は明るくなるが、すぐにまた元に戻ってしまっていた。

 

そんな暗い世界から飛び出したくて、私はパートを始めた。

 

10数年ぶりの社会に出て、私の日々に新しい色が加わった。

 

どんよりくすんでた色が、働きに出たことで少しずつ明るくなってきたのだ。

 

そして1年後
私は学生時代から取りたかった資格を取れた。

 

資格を取れたことで、私には「自信」という名の色が付いた。

 

「今ならなんでも出来そうな気がする。」

そう思った私は、新しい事を始めたくなった。

 

その時にふと思い出した。
数年前、子供たちと一緒に訪れた本屋。
そこで飛び込んできた、鮮やかなピンクのカバーに包まれた「ブログアフィリエイト」の一冊の本。

 

当時の私にはものすごく輝いて見えて、そのピンク色の本を思わず買ってしまった。

 

結局育児が忙しくて、まともに読めていなかったが、その時から私の心の中ではブログがずっと引っかかっていたのだ。

 

「そうだブログだ…。」

 

私は数年越しに、気になっていたブログの世界に飛び込んでみた。

 

ブログの世界はそう簡単じゃなかった。

 

右も左も分からない、とにかく無我夢中だった。
順調に収益が伸びたかと思えば、維持できずに失敗を繰り返していた。
時にはうまくいかなくて、「自分には無理かもしれない…」と落ち込む。

 

悪戦苦闘の毎日だ。

 

だけど家にいながら、たくさんの彩りを私に与えてくれる。

 

初めて経験するブログの世界は、知らないことばかりで私をワクワクさせた。
家にいながら、自分が夢中になれるものに出会えたのだ。

 

家から一歩も外に出ていないのに、今までだったら出会うはずもない、遠くに住む人たちとも出会うことができた。
その人たちも皆それぞれいろんな色に輝いてる。

 

数年前の私は、同じ家にいながらも孤独で、毎日どんよりくすんだ色をしていたのに。

 

信じられない変化だった。

 

勢いで飛び込んだブログの世界は、まだまだ順調とは言えない。
本屋で出会った時に感じた輝く色にもまだまだ遠い。

 

けれど私の鬱々としていた日々は、ブログのおかげで明るいパステルカラーになった。
ぼんやり、だけどほんのり輝いている。

 

「まだまだ明るく、鮮やかな色にしよう。」

 

今日も彩りを求めて、私はパソコンを開く。

 

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