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No.34「おうちワークができたから今がある。おうちワークを目指す人に伝えたいこと。」

おうちワークができたから今がある。おうちワークを目指す人に伝えたいこと。

Webライター E.

第一章 親の呪縛を受け入れて、おうちワークを始めるまで。

 

小学校1年生のときの、わたしの将来の夢は「作家」。
文章を書くのはたしかに大好きではあったのですが、もっと大きな理由がありました。

 

それは、家でできそうな仕事だということ。

 

わたしの両親は、「女は子どもを産んで専業主婦になるのが一番」と言って憚らない人たちでした。
作家は、幼いわたしが必死で考えた、家も仕事も諦めないための苦肉の策だったのです。

 

幸いにも、わたしは中学生で、親は親、自分は自分だと目が覚めました。
子どもを産まなくても、子どもを保育園に預けても、人間としての価値や幸福度に関係がないことも、その後の人生で実感として学んでいきました。

 

出産を機に退職したのは、当時フリーランスのエンジニアをしていて、産休も育休も取れなかったからです。
しかし、3年後に生まれた第二子が2歳になっても、なぜか仕事に復帰する気にはなれませんでした。
20年前に吹っ切ったはずの親の呪縛が、むくむくと蘇っているのを感じました。

 

呪縛と戦って働きに出るのか、呪縛を受け入れて家にいるのか。

 

わたしは後者を選びました。
できることなら心身ともに解放されたいけど、「女は家にいるべし」なんて間違いなのはよくわかっている。
これ以上の呪縛との戦いからは降りよう。そう決めました。

 

ただわたしは、作家という夢をひねり出した小1のときと変わっていなかったようです。
「在宅ライター」という言葉で検索したのは、コロナ禍よりずっと前の2015年でした。

 

第二章 縁で拓けたライター稼業

 

運がよかったのは、2015年当時、Webライターの需要が高まってきていたこと。
そしてもうひとつの大きな幸運は、きちんと指導と評価をしてくれるクライアントに出会えたことです。

 

わたしの「文章を書くのが得意」は、「陸上部じゃないけど、かけっこではなぜか一番」といった程度のもの。
執筆の基礎もなければ、プロのライターとして自分がどのレベルなのかもわかっていませんでした。

 

そんな駆け出しの時期、たまたま応募した案件で、厳しく丁寧なフィードバックをしてくれる編集者に出会いました。さらに彼はわたしが書き上げた原稿を見て、「良記事なので単価を倍にします」と頼んでいない値上げまでしてくれたのです。

 

値上げの嬉しさはもとより、早い段階で基礎を教えてもらえたこと、自分の相場を知れたこと、”良いクライアント”がどんなものであるかわかったことが、わたしの在宅ライター道を明るく照らしてくれました。

 

第三章 今だからわかる、おうちワークのアドバイス5つ

 

2024年現在も、わたしはライターを続けています。
お店やホテルの取材、インタビュー取材、SNSの運用代行、メディアのWebディレクションなど、仕事の幅も広がっています。
運に恵まれた部分も大きいですが、9年前のわたしのようにおうちで働くことに手探りな人に伝えたいことをまとめてみました。

 

第一に、実績になる仕事を選ぶこと。
これは、“次の仕事に繋がる仕事”とも言い換えられます。
「担当しました」とSNSでシェアできる仕事が理想ですが、クライアント名を公開できないまでも「大手企業のオウンドメディアに寄稿」「飲食店のホームページ制作」など、責任ある仕事をしたことを伝えられる仕事もあります。
不採用だからといって経歴に傷がつくわけではないので、興味のある仕事にはどんどん応募しましょう。

 

第二に、「都合のいい外注」にならないこと。
とにかく返事が遅い、いつも直前に依頼が来る、追加料金を払わずにに作業を上乗せしてくる、相談ベースの話が立ち消えになることが多い、無理難題を言う元請けからかばってくれない、修正指示のみで誉め言葉が一切ない……、そんなクライアントは、モラハラのパートナーのようなもの。自分を大事にしてくれないクライアントからは、離れるべし!
すぐには無理でも「〇ヶ月以内にこの仕事を断れる」と具体的な目標を立て、イライラをガソリンにして、ステップアップに勤しんでください。
もちろんこれがブーメランにならないよう、即レスや感謝の言葉を心がけるのも重要です。

 

第三に、信条に反する仕事はしないこと。
Webの仕事でいえば、ステマ規制や薬機法などルールはどんどん厳しくなっています。名前が出る、出ないにかかわらず、「これ、いいのかな?」と感じるような仕事は後々自分の首を絞める可能性もありますし、精神衛生上もよくありません。
わたしの場合、「どんなに高単価でも、夫や子どもに言えない仕事はしない」と決めています。

 

第四に、仕事をしない時間をつくること。
自由度の高いのがおうちワークのいいところですが、「やっと自分だけの時間だ」と、幸せを感じる深夜に仕事をしすぎてしまい、気づけば睡眠不足で体調も機嫌も低下、という事態になりがちです。
最初から上手く調整するのは難しいですが、深夜の仕事はしないと家族に宣言して止めてもらう、仕事を終えたらPCの電源を切る、土日は仕事のメールをスマホで見ないなど、自分でルールを作ってください。

 

第五に、SNSで仲間をつくること。
クライアントとのやりとりはあるものの、おうちワークは基本的に1人きりでの作業です。
特に始めたばかりで単価が低い時期はモチベーションの波もありますし、品質やスケジュールが杜撰になってしまうことも。今日はこんな仕事をした、次はこんな仕事をしてみたい、と話し合える仲間を作れば、それだけでがんばりやすくなります。

 

第四章 最終目標は、おうちライフを豊かにすること!

 

わたしは毎日、リビングのローテーブルで仕事をしています(子どもが小さいときは、子どもの手がPCに届かないようにスタンディングデスクで立って仕事をしていました)。
子どもはしょっちゅう友達を連れてくるので、小学生の息子とその友達が目の前のテレビでYouTubeを見ながらゲラゲラ笑っている、なんてことも珍しくありません。

 

自分がそんな状況でも集中力を乱されることなく原稿を書け、「今からミーティングするから全員静かに!」と一喝できる人間だったとは、実際にやってみるまでわかりませんでした。
特に努力したわけでもなく、「おうちワークの適性があったんだな、ラッキー」という感覚です。

 

個人的には、おうちワークは最高だと思っていますが、あくまでもわたしの場合の話。
子どもに割り込まれるとイライラする、公私の区別がつけづらくずっと落ち着かない、1人で働くのがどうしても性に合わない、そんな人もたくさんいます。

 

おうちワークへの挑戦は、大賛成です。
でも、フルタイムで働く、パートに出る、専業主婦を続ける、仕事につながる資格の勉強をしてみる、といった選択肢を頭に入れておくと、気持ちがラクになると思います。
そして何が正解かは、自分のスキルや興味の方向性、子どもの年齢によっても変わります。
過去の決断にこだわらず、「今の自分には何がベストなのかな?」と、ときどき振り返ってみてください。

 

大切なのは、おうちワークをすることではなく、自分のおうちライフが豊かになることです。
運よく適性があった人は、ぜひ一緒に続けましょう!

 

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