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No.27「飲食業界にいた私が出会ったおうちワークの可能性」

飲食業界にいた私が出会ったおうちワークの可能性

奥牧双葉

「家で仕事ができたらなぁ。」
私のように飲食業界が長い人は、一度は考えたことがあると思う。

 

飲食業でなくとも、うんざりするような通勤ラッシュやストレスだらけの職場から解放され、自宅で自分のペースで働けることを夢見たことがある人は多いのではないだろうか?私はある。何度も。

 

持病のヘルニアが立ち上がれなくなるほど悪化して手術することになり、2ヶ月休職しなければならなかった時や娘が1歳の時にRSウィルスで入院して、付き添いのため2週間以上パートを休まなければならなかった時にはつくづく思った。

 

自身も、激痛で寝返りすらままならなかったり、点滴を打たれ高熱でぐったりした娘と一緒に檻のようなベットから出られず、それだけでもなかなかハードな状況なのだが、それに職場の方に迷惑をかけているという申し訳なさと、自分ではコントロールできない状況のもどかしさが追い打ちをかける。

 

せめて、在宅ワークなどでフォローできれば良いが、現場に出ないと仕事にならない職種にとっては、休むことは致命的だ。子どもの急な発熱や自身の体調不良で急に休んだり、人に仕事を代わってもらわないといけない時には、いつも胃がよじれる程のストレスを感じる。いくらお互いさまといっても、あまり頻繁ではいたたまれない気持ちになってくる。

 

そんな私が、30代後半で現場で働けない事情が様々に重なり、ついに一念発起して家で仕事をするようになった。

 

私が選んだのは、菓子専門の商品企画の仕事とWEBライター。
これまでのパティシエとしての知識や経験、自分の得意を何とか活かせないかと選んだ仕事だ。

 

それまで仕事では、簡単な入力程度しかパソコンを使ったことがなかったが、企業で商品企画をしていた方に教わり、ゼロからみっちり企画術を学んだ。今では、コンセプト設計から考え、デザインソフトを使った企画書を一人でも書き上げられるまでに成長した。

 

ライターも、学生時代に国語が得意だったという単純な理由から始めたが、メディアの直案件獲得にもチャレンジして、今でも月2本の記事を継続して書き続けている。

 

家で仕事をするようになって一番感じたのは、自分の心のゆとりだ。
就職してから仕事優先の生活で、特に産後娘を1歳で保育園に預けて働きだしたときには、常に時間に追われている感覚が強く、急変する娘の体調や嫌でもやらないといけない家事などでいつも余裕が無かった。

 

通勤時間も無くなり、時間も自分で調整できるようになって、親子の時間は以前よりも充実していると感じることが多くなった。

 

以前は娘に「ちょっと待ってて。」「あとにして。」という声かけも多く、イライラしてばかりだったのが、今は手を止めて娘の話を聞くことができる。

 

うちは夫も在宅フリーランスなので、夫婦で家でお昼を食べる時間などもできた。家族の時間の充実は、私にとっておうちワークの一番のメリットといえる。

 

最初、自分に家で仕事ができるだろうかと不安もあったが、これまでと違う働き方に目を向けたことで、かえって自分の知識もスキルも人間関係も広がったと感じる。

 

ただ、家で働くことにはメリットばかりでなく、デメリットもある。
気を抜くとすぐだらだらしがちになるし、夫婦でフリーランスだと生活と仕事にメリハリもつけにくい。

 

私は、やるべきことをリスト化して優先順位をつけたり、生活では、なるべく子どものリズムに合わせ、休日などもできる限り合わせるようにして乗り切っている。

 

現在は、午前中はホテルパティシエのパートに行き、午後はフリーランスの仕事や自分に必要な知識のインプットなど、比較的自分のやりたいこととプライベートのバランスが取れた生活をしている。

 

もし、いま自分の働き方に迷いや悩みがあるという人がいたら、ぜひおうちワークも選択肢の一つとして検討してみて欲しい。まずは、隙間時間にできる副業から始めたり、オンラインでできるスキルを学んでみることからでも良いと思う。

 

おうちワークには、自分らしく働きながらプライベートも充実させられる沢山の可能性が詰まっている。

 

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