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No.28「私に「合う」職場」

私に「合う」職場

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私がおうちワークを始めたキッカケは、会社勤めすることに限界を感じたからだった。

 

去年の春、結婚した。
結婚を機に、それまで約15年ほど住んだ東京を離れ、埼玉県の田舎へ引っ越した。
初めての田舎暮らし。
初めての結婚生活。
しかも夫は外国人だから、国際結婚。
お互いの文化の違いに衝撃を受ける毎日。
それまでの生活とは、なにもかもが変化していった。

 

新生活もいくらか落ち着いた頃。
埼玉県にある某私立大学で、派遣職員として仕事復帰することになった。
自宅から近いため、これまた初めての、車通勤。
満員電車から解放され、自分のペースで出勤できることに、はじめはとても新鮮な気持ちで楽しく通勤していた。
けれどもそんな楽しい気持ちは、そう長くは続かなかった。

 

一般事務は何度も経験があったが、大学事務は全く初めてだった。
なおかつ、大学に通ったことのない私。
「履修」や「講義」など、慣れない専門用語についていくだけで必死だった。
おまけに私が派遣された部署は、代表電話がかかってくる部署だった。
学生やその保護者からはもちろん、業者からの営業電話や、他大学やマスコミからの電話。
中には、大学とは全く関係のないお年寄りからの、間違い電話など……。
電話応対は派遣職員の仕事―――という、暗黙の了解のようなものがあった。
「たった今、電話応対を終えたばかり」という状況で別の電話が鳴っても、誰も取ってくれず、ほとんどの電話を一人で対応。
まるで、コールセンターで働いているかのような受電の多さだった。

 

元々電話が苦手な私にとって、日々不特定多数の相手からかかってくる代表電話の対応は、苦痛そのものだった。
他にも部署内の人間関係や、大学の教育方針、田舎特有の閉鎖的な空気感が合わず、私は次第に心を病んでいってしまった。
勤務開始から3ヶ月経つ頃には、派遣契約の更新をしたくないと考えるようになった。

 

生きていくためには、お金がいる。
そのためには、仕事をしなければならない。時には、我慢することも必要だ。
しかし、この頃の私の心と体は、もう我慢の限界だった。
職場に行っても全く笑えず、常に不機嫌オーラを放ち、人にやさしくできなくなっていった。家に帰っても仕事のことが頭から離れず、休まることがなかった。
「新婚なのに、なんで私、こんなにストレスばっかり溜めてるんだろう……」
イライラして、夫にも八つ当たりしてしまう。
そんな自分に嫌気がさし、どんどん自己嫌悪する毎日。ついに体調を崩してしまった。

 

「体に出た症状は心のサイン」とは、本当にその通りだと思う。
体のあちこちに不調が出はじめ、眼科、胃腸科、皮膚科、神経科など、あらゆる病院にかかった。
週5日働いて、毎週土曜日には病院で治療費を払う。
これではなんのために働いているのか、本気でわからなくなった頃。
ひとつの、ライター養成講座に出会った。
その講座は、結婚や出産で思うように働けなくなった人たちでも、ライティングの知識を勉強し収入に繋げることができる、女性向けの講座だった。
「ライティングの講座を受けながら実際に記事を書いて収入を得られる」というところに魅力を感じ、思い切って受講。プロフィールの作り方や、WEBライティングの文章を書く際のルールなど、基礎から学ぶことができた。

 

実際に、収入を得ることもできた。
よく、インスタなどの広告で見かけるような、「初月から月収7桁!!」なんて夢のような話はありえるわけがない。
ライターとしての収入は単価が決まっており、記事を多く書けば書くほど収入がもらえる。
しかしはじめの頃は一つの記事を書くのにとても時間がかかってしまい、思ったほど書けず、収入も少なかった。
が、少しずつ勉強し繰り返し記事を書いていくと、次第に記事を書くスピードも速くなり、文章を修正される回数も減っていった。
月末には、人生で初めて、自分で請求書を発行した。
後日、きちんと請求した額が振り込まれていた。
自宅にいながら収入を得ることができるなんて思いもしなかった私が、初めて「おうちワーク」でお金を稼いだ瞬間だった。
なにより、WEB上に私が書いた記事が載ったときは、とてもうれしかった。

 

そして、私は派遣職員として働くことを辞め、ライターとして在宅で働く道を選ぶことにした。
それまでは大学で働きつつ、昼休みや帰宅後などの空き時間で記事を書いていたから、「副業」のような感じだった。
しかし、派遣を辞め時間的にも、なにより気持ち的にも余裕ができた私は、本格的にライターの講座を勉強し、今まで以上にたくさんの記事に挑戦するようになった。
ライターとしてのスキルも少しずつだが伸びていった。

 

あの時、ライター養成講座に出会っておらず、今でも同じ大学で派遣職員として働いているかと思うと……我ながら、想像しただけでゾッとしてしまう。
「合わない」職場というのは、本当に心身ともに疲弊する。
もしも今、仕事や職場の人間関係が「合わない」と悩み、つらい思いをしている人がいるとしたら。「おうちワーク」をする道もあることを知ってほしいと強く願う。

 

ひとつだけ、おうちワークのデメリットを挙げるとするならば……。
ちょっと太ってしまったことぐらいだ(笑)
いくら自宅での仕事が快適だからといっても、ずっと家にこもってしまうのもよくないから、後でウォーキングに出かけよう。
こんな風に、その日の自分のコンディションさえも自分で調整できることは、自分自身をとても大事にできている気がして心地がいい。
体重も増えたけど、その分、笑って過ごせる時間も増えたからいいのだ!!
と、こんな冗談を言えるほど、私は今、とても心が穏やかになっていることを実感している。
記事がなかなか書けないときなどは焦ってしまうこともあるが、ここ(自宅)にはもう、頻繁にかかってくる電話も、煩わしい人間関係も一切ない。
自分のペースで進めることができて、自分だけの仕事に没頭することができている。

 

今日も、自宅で仕事をしながら、最近趣味で始めたピアノを練習してリフレッシュした。
好きな時間に料理して、好きな時間に気分転換する。
今、私がある程度自由な働き方ができているのも、自分自身で「在宅でライターとして働く!」と決断したから。
あのとき、勇気を振り絞ってみて本当によかった。
在宅で何の仕事をするかにもよるし、在宅で働くこと自体が、「合う」「合わない」はあるかと思う。
だけども私は、「おうちワーク」をはじめてからは、一度も病院にも行っていない。

 

周りの人に合わせてばかりで、ストレスを感じてばかりいた私にとって、自宅は、一番「合う」職場なのかもしれない。

 

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